ありがとう虹野さん

今日もサッカー部の練習で爽やかな汗をかく漏れだが
もともと虹野さんの訳の分からない勧誘に釣られて入っただけのクラブで
何故ここまで頑張っているかというとそれは漏れが虹野さんに萌えているからだ

クラブ中はいつも下はジャージだけど本当はブルマーが世界一似合う虹野さんに
応援され続ける内にその気になっていつしか虹野さんに萌え始めた漏れは
やっぱりどうせなら格好良いところを見せたいと練習に励み
漏れが練習を頑張っているのをしっかり見ている虹野さんにまた応援されるという
実に良い流れで漏れも今ではすっかり普通にクラブ練習自体を楽しんでるよ

漏れもいつも応援してくれる虹野さんのために
練習後の虹野さんが下駄箱に入れた運動靴の臭いを嗅いで
他のヤシらが虹野さんの足の臭さに気が付かないように消臭してあげたり
虹野さんが練習用の道具を片付けている時に誰も居ない用具室で
コッソリすかしっ屁をした直後に漏れが虹野さんを呼びに来てしまった時も
当然誰にも話さないようにしてあげたけど合宿の時に虹野さんの入浴姿を覗くつもりが
ウンコ姿を覗いてしまったのがバレたりとハプニングも結構あったよ

それでもそんなことが色々ある内に虹野さんとの仲も深まって
虹野さんの漏れへのときめき度も高まったおかげで
今では一緒に下校したりもするようになったよ


とそんなことを漏れが説明している最中に
グラウンドの片隅で虹野さんが何やら揉めているようだ
「ねえ、考え直して。せっかく頑張ってきたのに辞めちゃうなんて勿体ないじゃない」
虹野さんが懸命に説得している相手は確か半ば幽霊部員と化している
クラブ練習にすぐ音を上げてサボリがちだった連中だな
虹野さんが教室を回って練習に参加させてみたいだけどやっぱり駄目だな
たとえ弱虫なヤシらとはいえそれでも励ましてしまう虹野さんがむしろ可哀想だよ

「まだ入ったばかりなのに、これぐらいの練習でめげちゃ駄目だよ」
辞めるか続けるかの決断も出来ずにグラウンドの隅でチンタラやっているようなヤシらには
虹野さんの一生懸命さはかえって気に入らないらしい
「これぐらいってなんだよ!ただ突っ立って頑張ってとか言ってればいい
 マネージャーなんかにそんなこと言われたくねえよ!」
「・・・・・・!!」

逆切れで怒鳴られて唖然とした表情で立ちすくむ虹野さんを尻目に
サボリの連中はそのままグラウンドを去ってしまったようだ
虹野さんもショックでしばらくその場から動けなかったけど
やがて大きく溜め息をついて再びマネージャーの仕事に戻っていったよ
でも練習が終わるまで虹野さんのいつものやかましいぐらいに応援する声は
とうとう聞かれることはなかった


きっと悲しい思いをしたハズの虹野さんを漏れがただ口で励ましても効果はないだろう
それよりも漏れがもっと頑張って試合で活躍して喜んでもらって
あんなヤシらのことを忘れさせてあげるのが一番だと思った漏れは
練習時間が終わっても残って練習を続けることに決めたよ


・・・ああ疲れた
しかしサッカーは一人で練習するのは効率が悪いものなんだな
自分で蹴った無数のボールを回収する時間の方が流そうだよこれは

これでは駄目だと今日はちょっと切り上げる事にした漏れは
明日からどう練習するかもっと考えることにしながら部室に戻ったら
中で虹野さんが掃除をしていたのでビックリ
「えっ!ふ、藤田君まだ終わってなかったの!?」
漏れが突然入ってきたものだから虹野さんも驚いたようでどぎまぎしてるけど
別にやましい事をしてるわけじゃないのですぐ普通に話し始めたよ

漏れ達がいつもゴミやユニフォームを散らかしている割に部室が結構清潔なのは
虹野さんがこうやって毎日掃除していてくれたからなのかと思いつつ
どうして虹野さん一人だけなんだろうと思ったのだけど
「うん・・・。他の子はユニフォームとかの洗濯は出来ても男子の部室はちょっと嫌みたいで・・・」
確かにそれはそうだろうな・・・
それなのに一人で漏れ達の部室の掃除を頑張る虹野さんは本当に凄いよな

さて漏れはとりあえず着替えて帰りたいのだけど
虹野さんが部室をあちこち歩き回りながら掃除しているので
何だか妙に着替えづらくて困るよ
そんなちょっぴり困っている漏れに気付かずに掃除をしていた虹野さんだけど
それも一通り終わったのか長椅子に腰掛けて一息ついてるよ

「・・・ねえ、藤田君」
ちょっと着替えたいんだけどと漏れが声をかけようとしたら
逆に虹野さんに話しかけられてしまったのでとりあえず話を聞いたら
虹野さんは今日のサボリ連中に怒鳴られたことを話し始めたよ
一生懸命説得したのだけど引き止められなかったこと
自分の言い方がまずかったんじゃないかと気にしていること
どれもこれもヤシらが悪くて虹野さんに責任は全くないよと言ってあげたけど
虹野さんはどうしても怒鳴られた台詞が尾を引いているようだ

「・・・マネージャーなんかにそんなこと言われたくないって・・・
 私・・・一生懸命頑張っていたつもりだったけど、まだ頑張り足りなかったのかな・・・」
悲しそうな声でそう話しながら両手で顔を覆って今にも泣きそうな
虹野さんの側に近寄る漏れ

「虹野さん。・・・虹野さんのブルマと運動靴を貸してくれないかな?」
「・・・・・・え?・・・ええっ!?」
目に涙を溜めている顔を覆うのも忘れた素っ頓狂な表情の虹野さんに
漏れは今の言葉が聞き間違いでも何でもないことを告げると
虹野さんは訳も分からずにオロオロしながらも「えっと、今私が穿いてるブルマと運動靴の事だよね・・・?」
と聞いてくるのでもちろんだよと答えたら虹野さんはしばらく悩みながらも
「それじゃ、ちょっと脱ぐからむこう向いててね・・・」と案外早くOKしてくれたよ

「はい・・・。これでいいの・・・?」
温もりがはっきりと分かるまさに脱ぎたての虹野さんのブルマーと運動靴を
手に取った漏れはその蒸れきってしっとりしている手触りを感じながら
自分が身に付けていたブルマーと運動靴を漏れが一体どうするのか
ちょっぴり不安げに見つめている虹野さんの目の前で漏れはおもむろにブルマーの股の部分を
鼻の前に持っていきその臭いを嗅ぎ始めたよ

「えっ!?ちょ、ちょっと、藤田君!?」
汗を吸い込んだブルマーと運動靴を漏れに渡すのは当然恥ずかしかったけど
漏れがあまりにも堂々と貸してと言うものだからまさかいやらしい事ではないと
何となく渡してしまった虹野さんは漏れがブルマーの臭いを嗅ぎ始めるという
突拍子もない展開に激しく動転しているけど
実は漏れも虹野さんのブルマーのあまりの臭さにちょっとビックリしていたよ
「す・・・凄い臭いだね」
「そ、そんな・・・。だって、今日はみんなのランニングにも付いて行ったし・・・」
苦笑いをしながらの漏れの言葉に動転してる虹野さんは半ば臭いのは認めながらも
漏れ達のランニングに自転車で併走したからたくさん汗をかいたとか言い訳をしているよ

「それに洗い物もいっぱいあったから良く動いたし・・・。
 ね、ねえ。もう止めてよ藤田君。そんなに臭い嗅がないでってば」
さっきから慌てっぱなしの虹野さんだけど漏れが間髪入れずに
今度はブルマーに替わって運動靴の臭いを嗅ぐと困ったような悲鳴をあげながら
自分の運動靴の刺激臭と言ってもいい臭いを嗅がれている状況にオロオロしているよ

やっぱり虹野さんはブルマーだけでなく運動靴も凄く臭かったよ
両方の臭いを立て続けに嗅いだ漏れがさすがに顔を曇らせると虹野さんは
漏れが臭がっているのに気付いてさらに恥ずかしがって色々な言い訳が出てくるよ
「今日は休んでる人達を捜して歩き回ってクラブに遅れちゃったから
 その分いつもより急いで動かないといけなかったし・・・。
 あ、シュート練習のボール拾いもいつもより大変だったわ。
 それに・・・最近忙しくてついブルマと運動靴を洗い忘れちゃって・・・」

「そうだよね。だから虹野さんのブルマーと運動靴はこんなに臭くなるんだよね」
「えっ・・・?」
いつも漏れ達のために誰よりも動き回って働いてくれたり
自分の用事も忘れてクラブのみんなの事を心配してくれたりするから
虹野さんのブルマーと運動靴はこんなに臭くなるんだよね

「・・・・・・」
虹野さんがこんなにブルマーと運動靴が臭くなるまで頑張ってくれるから
漏れ達はクラブ練習に打ち込めるんだよな
虹野さんが居てくれなかったら漏れだってどうなってたか分からないよ
「毎日クラブのために、誰よりも一生懸命動いてくれて・・・ありがとう、虹野さん」

「・・・・・・う、うぅ・・・。そんな・・・お礼を言いたいのは・・・私の方だよ・・・」
地味で周りのヤシらにはなかなか大変さが分かってもらえないクラブのマネージャーという仕事
気楽に流しながら仕事をする女子も多いっていうのに虹野さんはマネージャーの仕事だけでなく
サッカー部自体にも男子より強い誇りを持って働いていたんだ
だからこそ仕事を認めてもらえなくても頑張り続けていたけど
何も知らないヤシに軽んじられるのはさすがに辛いに決まってるよ

だから漏れは虹野さんが誰よりも大変なんだという事を示す証を
見つけてあげることでしか虹野さんを励ましてあげることはできなかったけど
嬉し泣きまでして虹野さんが喜んでくれたのだから漏れもホッとしたよ


虹野さんが無事元気になってから一ヶ月ぐらいたったけど
大会を間近に控えたということもあって練習もより厳しくなり
練習中に倒れるヤシも出てくるようになったけど漏れは何とか耐え抜いている
それは漏れが大切にしている虹野さんのブルマーと運動靴というお守りのおかげかもしれないな

「虹野さん。・・・漏れ、この虹野さんのブルマーと運動靴が欲しいんだ」
嬉しさで泣きじゃくっている虹野さんに漏れは思いきってそうお願いしてみた
もちろんただ虹野さんの臭い匂いに萌えたかったからじゃあないぜ
「漏れも時々練習が辛くなったり、挫けそうになったりすることがあるかもしれないけど
 この虹野さんのブルマーと運動靴の臭いを嗅げば、漏れなんかよりも
 もっともっと毎日一生懸命頑張っている虹野さんのことを思いだして
 弱音なんか吹っ飛んじゃいそうな気がするんだよ」

漏れの辛さや苦しみなんてこんなにもブルマーと運動靴が臭くなるほど大変な
虹野さんの仕事に比べれば全然大したことないじゃないかという気持ちで
また練習を頑張れそうだからこそ欲しいんだ
「え、えっと・・・。私の汗臭いブルマや運動靴なんかで大丈夫かどうか心配だけど・・・
 本当に藤田君の役に立てるんだったら、貰ってほしいな・・・」

こうして漏れは虹野さんからブルマーと運動靴を貰うことができたというわけだ
このお守りのおかげで過酷な練習を乗り越え成長していった漏れは3年生になって
クラブのキャプテンとして大会に出場することになったのを喜んでくれた虹野さんから
手作りのキャプテンマークを貰ったよ
そのキャプテンマークがあの日から虹野さんが新しく履き続けたブルマーという
マネージャーの仕事に情熱を燃やした日々の思い出がこれでもかとばかりに
染み込んだ宝物だということを知りそれを身に付けた時
漏れはまさしく虹野さんの根性と共に全国制覇への道を歩んでいくことになる  (´ー`)y─┛~~~

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